今年10月初旬、私は新しい家族を探していました。
それは、我が家にいるE・コッカー♂4歳の遊び相手兼仲間となる犬です。
地元の愛護団体にI・セッターが保護されているのを知り、ちょうど興味を示してコンタクトをとっていた時期でした。その愛護団体の担当者から「とうほくニュージーランド村」に多数の里親募集犬が出ているので、そちらの犬を優先された方がいいのでは、とお話をいただきました。
ホームページを見るとE・コッカーが4頭もいるし、里親もまだ決まっていませんでした。家族になる犬は別の犬種を希望していましたのでE・コッカーは検討もしなかったのですが、どんどん取り残されている4頭が気になり、以前から知っていたECSRNに助けを求めました。事務局はもう事態を把握しており、成り行きを見守ってくれていたので安心しましたが、我が家で1頭でも救えればという思いで、家族全員で現場に赴きました。
現場ではガチャピン♀とサム♂に会わせていただき、小一時間ほど一緒にいました。そのときの気持ちを今でもはっきりと覚えています。
「どうしよう、里親になれない。無理だ。」
主人も同様で「無理だな。」の一言でした。
理由は、2頭とも人間に馴れているだけのまったくの野生に見えたからです。ただでさえチャカチャカなコッカーなのに、さらに落ち着きは無く、声をかけても無視され、「これ、どうやって躾たら良いのだろう・・・」と呆然としてしまいました。
一度は里親になることを諦めたのですが、ECSRNでも保護中のコッカーが多いこと、岩手に会員がいないことなどで一時預かりならと外部ボランティアとしてサムを引き取りました。
サムを引き取った理由は、ガチャピンがうるさい子供たちをとても嫌がっているようでしたし、私は車を運転できないので、ガチャピンの皮膚疾患などの治療で頻繁に病院へ連れて行けないからです。あと、落ち着きのないサムを抱きかかえたときに見た、いたずらっ子のような豆粒みたいに小さな目、それがとても可愛いと思ったからです。
10月22日からサムの預かりが始まりました。
先住犬の性格、♂同士、歳も近い、などで最初は喧嘩や威嚇が絶えずオロオロしましたし、トレーニングへの自信の無さ、知識の無さでグッタリしていましたが、ECSRNのメンバーの皆様や、日記を読んでくださる皆様からのはげましのメールや躾に関するアドバイスをいただき、毎日励みになりました。不安な気持ちもなくなりました。同時にサムは最初の印象とは別犬のように、家庭の中のルールをどんどん覚えてくれました。
11月16日里親募集開始。
サムの大らかでやさしい気持ち、ちょっと天然でズッコケなところ、何よりも一生懸命アイコンタクトで私の言葉を聞いてくれるところ、その全てが最初の「里親になれない」という気持ちを吹き飛ばしていました。良いご縁があれば、「とても素直でいい子です!」と太鼓判を押して見送るつもりでした。
なかなか縁がつながらずにいた12月中旬のある日、東京に移動すれば良い縁にめぐり合うかもしれないので、正月前後に移動をするかもしれない、というお話をいただきました。私もそれに賛成だったのですが、移動方法は「空輸」がベストと聞いてから胸がキュンと痛くなりました。朝晩は零下になるこの時期、いくら空港内や機内は暖かいとはいえ、1時間半前に手続きし、他の荷物と一緒にたったひとりで運ばれるんだな・・・と思うと、涙があふれて止まらなくなりました。
「もう、不安な気持ちにさせたくない。
こんなに家庭犬としてのルールを一生懸命覚えようとしている。
先住犬に逆らわずにうまく付き合っている。
何よりも先住犬のように家族に愛されたいと強く思っている。
だから、こんな健気なサムの力になりたい。
残りの犬生を家族の中で安心して過ごせるようにお手伝いしたい。」
最後まで里親になることを反対していた主人に私の気持ちを話しました。3人の子供たちも「クリスマスプレゼントいらないから、サムをうちの子にして」とがんばりました。一言、主人の口から「あ~あ、子供が5人になるんだな。」と聞いたときは主人に感謝せずにはいられませんでした。
先住犬は「やれやれまだ居るのか」と思っているかもしれませんが、サムとの生活は私たち家族みんなにプラスであると信じています。
そしてサムもみんなに包まれて安心して暮らして欲しいと思っています。